「廬山温泉」は台湾一の名湯といわれ、川沿いに立ち並ぶホテルは観光客でにぎわいました。しかし何度も台風に襲われ、今はすっかり寂れています。
そんな中、途切れた遊歩道の先でポツンと営業を続ける温泉がありました。温泉頭(源泉)見学と温泉卵を体験し、壊れかけたような鄙びた建物でお風呂にも入れてもらいました。
寸断された遊歩道を歩く
廬山温泉があるのは、台湾中央部の南投県。塔羅湾渓谷に佇む温泉地は、日本のよくある温泉地のよう。
しかし、ほとんどの店が休業。台風の爪痕の大きさを感じます。
温泉頭は廬山温泉を代表する観光スポットでしたが、温泉街の奥に続く遊歩道は立入禁止の張り紙がされています。
「2023年の台風で崩落の危険があるため立入を禁止する」といったことが書かれています。
※ここから先は自己責任で進みましたが、決して真似しないでください。
大きく土砂が堆積した河床は、相次ぐ台風により塔羅湾渓流の流れが激変したことを物語ります。
遊歩道は途中で途切れていますが、川べりの岩を伝ったり、川がもたらした砂利道を歩いたりして先に進みます。
奥に見えてきたのが目的地、温泉頭です。
源泉を運ぶパイプからこぼれた温泉水によって、藻や析出物が岩にびっしりとついています。
野湯状態も覚悟で来てみましたが、建物は残っている様子。角度を変えるともう少し「やってる感」が感じられます。
たまたま?ご主人がいたので、撮影の許可ももらって、中に入れてもらいました。
ひなび感が半端ない!
がらんとした食堂はかつてのにぎわいを感じさせます。
ご主人に入浴料を渡し、階下の浴場へ。
なんとも廃墟感がただよう浴場にドキドキ。岩肌にはりつくように建てられているため、壁の一面は崖になっています。
手前には源泉が流れるスペース。
バスケットボールは、お子さんが遊んでいたのでしょうか。
それはさておき……
浸かってみると、やや熱めのお湯はカルシウムや塩分でミネラル味を感じ、数分でポカポカに。透明ながらややベタッとした肌触りでお湯の濃さを感じます。
泡湯は、全身つかれるお風呂の意味。足湯(脚湯)のみの場合は若干安くなります。
足湯も体験させてもらいました。こちらも熱めで、すぐに汗をかいてきますが、岩がゴロゴロした河原を歩いて疲れた脚には最高です。
ベニヤの手作り看板がオツですね。
温泉卵をレッツクッキング
入浴に満足したところでも、今回の目的である「台湾の温泉卵」を体験します。
足湯の奥に、ホーロー鍋が据え付けられた温泉卵用の小さなスペースがありましたが……
今回は源泉に近いところで作ってくれるとのこと。
おじさんと2個ずつ、計4個の卵をザルに入れて待ちます。
その間に、おじさんに源泉を案内してもらいました。85℃ほどの高温の源泉が湧き出しているのだとか。
湯の華と藻におおわれ、源泉と桶が一体化しています。
源泉にはカルシウムの結晶が浮かび、成分の濃さを物語っていました。
一通り見学を終えて、おじさんのスマホで台湾の山の写真を見てもらっていたところ、設定タイマーが鳴りました。おじさんが卵を皿にあけ、しおこしょうをかけてくれました。
さすがに日本のような半熟にはなりませんが、プルンとしたゆで卵は確かにひと味違うかも!
沸騰したお湯で茹でる普通のゆで卵と違って、85度の源泉で加熱することでやわらかい仕上がりになっていました。
おじさんにお礼を伝えて温泉頭を後にします。
遊歩道に面した入口があったようです(行きは川床から入ってしまった)。
「温泉卵、入浴、お茶は上の階へ」との看板。その順番なんだ。
廬山温泉に行くきっかけとなった、尊敬するブロガー「温泉逍遥」さまのレポ記事を紹介させていただきます。ありがとうございました。
廬山温泉 温泉頭の詳細情報
廬山温泉は台湾の中心部近く、標高1,300mほどの高地に位置します。
台中駅からバスを乗り継いで2時間半。アクセスはよくありませんが、頑張って行ってみる価値大いにあり!でした。
台中駅から、埔里行きのバスに乗り、レトロな雰囲気がステキな埔里火車站(バスセンター)で「温泉行」のバスに乗り換えます。
被災の影響からか、廬山温泉まで行くバスは1日数本。GoogleMapsでは詳細なルートが見られますが、時間が間違っている場合もあるので気を付けてください。